[Book Review][ja]英語を学べばバカになる[/ja]

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センセーショナルなタイトルですよね。どんな偏屈な人が書いているんだろうと思ってつい買ってしまいました。でも、内容は「英語は世界の共通語」というありがちな迷信やアメリカ追従型のグローバリゼーションを批判したもので、思ったよりまともです。特に次の部分には大変共感しました。

日本語を母語としない外国人が拙いながらも懸命に日本語で話そうとしているとき、「この外国人はよく頑張っている」と思わないであろうか。少くとも、私は思う。下手でも懸命に努力していれば、尊敬もする。日本語を話そうとする人間を大切にすることなしに、日本の国際化はありえない。

まがりなりにも英語を読み、書き、話せる自分の体験に照らせば、英語を話せることにマイノリティ感を感じることはあっても、優越感を抱いたことはありません。少くとも「あいつの英語は教科書英語だ」などと「英語検事」のような発言をしたことは決してない。むしろ、日本人の前で英語ができることを示すと理不尽な反感を買うことの方が多いような気がします。

また、筆者は日本人で外国語を習得できるのは富裕層の子女のみ、という書き方をしていますが、私自身は富裕層の子女である自覚は全くありません(笑)。 NOVA などの語学塾に通ったこともなければ、留学を含め、海外に行ったこともない。敢えて挙げるとすれば、中学、高校のときにやっていた「基礎英語」「続基礎英語」「上級基礎英語」くらいでしょうか。必要なのは月に300円のテキストとAMラジオだけです。確かに文系私立大学で「英語学」を専攻してはいましたが、それはいわゆる語学教育とは違います。また、今でも毎日英語のWeb サイトをチェックしていますし、暇なときにはVOA の Podcastingを聞いていますが、こうして頭の中の英語エンジンのメンテナンスをしているのは商売に必要だからです。英語のドキュメントが読めない、ではお話にならないのです。

反感を買うのを敢えて承知で言えば、95%以上の人が中学・高校で6年間、人によっては大学でさらに4年間、第一外国語として英語を勉強してできるようにならないのは、本人の意思や不勉強が問題なので、教育方法や学校のせいにするのは甚だ心得違いだと思うのです。ろくに勉強しなかったものができるようになるはずがない。

今、学校教育では小学校から英語を勉強させる方向にあるようですが、それよりも子供達には日本語をきっちり勉強させて欲しいと思います。日本語話者の人口は世界第6位で決してマイナーな言語ではありません。アジア圏では、外国語として学ばれることの多い国際的な言語です。それに、外国語を教えるのなら、英語一辺倒ではなく、中国語や朝鮮語、ヨーロッパ諸語など、これから需要の期待できる外国語を選択できるようにして欲しいとも思います。

日本語を話す外国人には寛大な態度で接してあげましょう。なまりがあったって、日本語特有の言葉を知らなくたっていいじゃないですか。自分がどれだけ流暢に外国語を話せますか。彼または彼女は少くとも日本に興味を持ってくれているのです。そのことに敬意と感謝を表しつつ辛抱強く聞いてあげることが、真の国際化への第一歩ではないでしょうか。

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 私は公立の高校で英語とハングルを教えている教員です。貴方の考え、意見に大変共感します。特に、英語一辺倒の教育ではなく、中国語や韓国語などの他の外国語も選択できる環境を整えること、また、日本語を話す外国人に寛大な態度で接すること、そういう点に共感します。
 まだまだ、英語を話すことが国際教育だという考えの人たちが多く、教育委員会、文科省の関係者にもそういう人たちがかなりいるようです。それがいかに時代遅れの考えであり、ひいては日本の将来の国益を損なう考えであるかを自覚していない人々が多いようです。残念なことですが、、、。
 

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