人月計算がプログラマを腐らせる

この業界の用語で「人月」あるいは「人日」という単位があります。システム構築などの見積りをするとき、「3人月で120万円」と言ったりする。これはどういうことかというと「3人のプログラマが協力しあって1ヶ月かかって作るくらいの規模」ということです。

でも、これってよく考えてみれば変でしょう?同じものを1人の腕の立つプログラマなら半月で作ってしまうかもしれない。そうしたら、値段は6分の1でいいということになってしまいます。普通の人が1ヶ月かかって作るものを半月で作る人のほうが当然能力が高いはずなのに、値段は下ってしまうわけです。これではプログラマは腐って当たり前です。

プログラミングというのは言うまでもなく高度に創造的な作業です。センス・知識・確実性が求められ、何人がかりで何日と見積れるような作業ではありません。本来なら、お客様のご要望を聞き、締切りまでの期間を考慮し、「このシステムはざっくり○○万円です」と勇気を持って言えば済む話なんですよね。

とはいいつつも、弊社で見積りを出すときは人月・人日という単位をさりげなく使います(笑)。ひとつには見積りに説得力が生まれるからで、もうひとつの理由は、開発期間を長く取れる可能性があるからです。どうしても短納期で仕上げなければならない仕事を除き、「うーん、これは2人月くらいになりますねぇ」などと、ぼそっとつぶやくと、たいていお客様は納得してくれます。作業する側にしてみれば、1ヶ月かけてやる仕事を2ヶ月取れた方が精神的にも大変楽に進められるわけです。人月・人日は見積りを出すときの特別な言葉と割りきって、腹の中では「このお客様にとっての価値」を見積っています。当然、見積りを出す相手によって値段も違ってくることになりますが、それでいいのです。

「競馬を成り立たせているのは意見の相違である」という言葉がありますが、人によって価値観なんて様々なのです。たかが炭素の立体結晶に数億円の値段がついているではないですか。たまたま生れた国が違うだけで、同じ労働をしても払われる賃金が数倍も違うではないですか。不均衡は常にあり、それが価値と呼ばれています。良いか悪いかはさておき、それが世の中というものと割りきらないと、やっていけません

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