「責任」という言葉は誤訳ではないかと思われる件について

「責任」という言葉、よく使いますよね。字義通り解釈すれば、「任じられた責(職)」という意味で、なんだかすごく重々しい感じがしますし、実際その通りに使われています。例えば、「責任を背負う」「責任を全うする」「責任感が強い」などなど。

ところが、和英辞書を引いてみるとわかる通り、「責任」にあたる英語は responsibility です。字義からすれば「レスポンス(応答)できる能力」、無理に漢語化すれば「可応性」とでもなるでしょうか。そこからは日本語の「責任」という言葉の持つ重々しさは感じられず、むしろ、有事の際に反応できればそれでいい、というごくごく軽い語感がうかがえます。

その「可応性」という意味で考えてみると、ニュースなどでよく報道される、「責任を取って辞職する」という行為は大変矛盾していることになります。有事の際にはリーダーが先頭に立って対応にあたらなければならないはずなのに、職を離れてしまっては何にもならない。再発防止に努めたり、やるべきことは沢山あるはずなのに、それを果たさずに逃げていくのはそれこそ「責任感がない」と非難されるべき行為です。

弊社も事業規模こそ小さいですが、それなりに責任を負っています。トラブルが発生しないように最善の努力を払ってはいますが、それでも避けきれない事態が発生することもあります。その時に大切なのが、レスポンシビリティ、つまりいつでも応答できることだと思っています。「責任を取る」とはすなわちそういう体制を作っておくことなのだと思います。

責任感の強い人がよく鬱になると言われますが、「責任」ではなくて「可応性」と考えてみると気分が楽になるかもしれませんね。人間のすることですから絶対はありえない、もしもの時に反応できること、それさえ保証できればそれでいい、むしろ、それをすることが大切なんだ、と。

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