個人情報保護主義がもたらしたもの

個人情報を大量に扱っているIT業者として本当は言ってはいけないことなのかもしれませんが、敢えて、問題提起してみます。

私は生来が商売人のせがれで、しかも店と自宅が同じ建物なので、自分の名前はもちろん、住所、電話番号が他人に知られているのが当たり前のこととして育ってきました。店舗の奥が居間ですから、外から飯を食っているところまで丸見えです。まあ、そのせいで怪しいセールスマンが来たり、営業電話を受けたりすることもあるわけですが、そんなの断ればいいだけですし、大して問題にもしていません。で、自分が会社をやるようになって、その辺りの許容度は益々ゆるくなっています。週日は営業の電話、FAXがかかってこないほうが珍しいくらいです。このサイトには私の顔写真は載せていませんが、それは顔を知られることが怖いからというより、訪れていただいた方にご不快な思いをさせるに忍びないからです。(笑

で、思うんですが昨今の個人情報保護の風潮、というよりもう法律になってしまっていますが、誠に窮屈というか、せせこましいというか、許容度がなさすぎるというか、興醒めなのですよね。中には個人情報が犯罪に悪用されたり、しつこく営業電話がかかってくることもあるでしょう。が、それはあったとしてもかなり低い割合だと思うのです。

その心配をするあまり、和歌山県の中学校ではとうとう卒業式の写真・ビデオ撮影まで禁止されることになりつつあるようです。 まあこの件は個人情報というより、肖像権の問題だと思いますが、根は一緒といってもいいでしょう。

悪用されることを未然に防ぐ、という考え方はわからないでもありません。でも、一旦自分の個人情報を知られることに頓着しない、むしろ知られることが望ましい立場になってみるとわかりますが、そういう状態というのは大変気楽なものです。

最近あった意外なできごとをお話ししましょう。このブログをお読みの皆さんならご存知でしょうが、高梨釣具店動画ブログでは、魚を釣り上げた方のお顔・お名前を、了解を得て公開しています。弊店の集客に確実に貢献してもいますが、それだけでなく、「ぜひ写してください!」「え、俺のこと載せてくれるの?嬉しいなぁ」というお声も少なからずいただいています。中にはご両親を写したら、「子供のことも載せてください」とわざわざお店に足を運んでいただいたご家族もいらっしゃいました。個人情報の保護・肖像権に関する声がかまびすしい昨今、大変ありがたいことだと思っております。これが、法律に抵触する可能性を恐れ、何もしていなかったらこういう反響も得られなかったわけで、その点リスクを取った価値はあったと思います。

個人の権利も法律ももちろん守られるべきものではあります。が、リスクを全く取らない、あるいは悪用されることを極度に恐れてしまうと、何もできませんし、非常に窮屈な思いをしなければならないのではないかと、個人情報保護の風潮に関して思うのでした。

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