たぶんAI(人工知能)が実現するのは、メガコアCPUができてからだと思う

今のコンピュータは、実は、原理的に一度に一つのことしかできません。「プリンタで印刷しながら、動画再生だってできるじゃないか」と思われるかもしれませんが、それは、コンピュータにさせる仕事を数億分の1秒単位で細切れし、取っ替え引っ替え行っているため、人間には同時に複数の処理をこなしているように見える、と言うだけの話です。

Core2, Core2Duo など1つの部品パッケージの中に複数のCPU回路を搭載している機種もありますが、せいぜい2つ、多くて4つが現在の技術では限界のようです。

人間の脳も、当然ですが同時に複数の処理をこなせるようになっています。こちらは本当に複数の処理を別々の脳の部位で行っているからで、神経間の情報伝達は、実は電気信号に比べると比較にならないほど遅いものの、かくも複雑な処理を難なくこなせています。

そして、現存のコンピュータと人間の脳の違いは、この並列処理性にこそあるのではないかと思っています。

昔のSF作家が夢見た、人間の代わりに働いてくれるロボットや人間のように言葉を操るコンピュータを実現させるには、もちろんさまざまな困難が想定されますが、この並列処理性は第一に解決されるべき問題でしょう。

そこで「メガコア」CPU、つまり数万単位のCPU回路が内部で協働して働くというハードウェアの登場が待たれるわけですが、もしそれが実現したならソフトウェアの方も、特にオペレーティングシステムは、設計思想を根本的に改めなくてはならなくなってくるでしょう。プロセスやジョブに1つに1コア丸ごと割り当てるのは分かりやすく単純な例ですが、現在でも1CPUで複数のジョブを(見かけ上は)処理できているのですから、これは少々無駄が多い。そうではなく、プロセスやジョブを脳細胞の1つと考えて、それらの間でプロセス間通信を行うことにより、人間の脳をシミュレートする、という使い方の方が興味をそそられます。

脳細胞1つあたりが処理する情報は極めて限られたものですが、人間の脳ではそれが140億個ほど集まっており、よく言われるように、一生のうち実際に使われるのはそのごく一部ということですので、多めに見積もって10%が使われるとして、約14億個のプロセスが相互に通信できる仕組みを作ることができれば、あるいは人間らしきものが生まれてくるのかもしれません。もっと機能を絞り込んだものであれば、メガコアと言わずキロコアくらいのCPUでも実現できる可能性はあります。

ハードウェアも脳神経学も素人の私ですが、こうしたことに想像をめぐらせるのは楽しいものです。

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