クラウド/ソーシャル/スマホ時代のLUG(Linux Users Group)の意義って?

今回は地元ネタではなく一部知人に読んで欲しくてこんなエントリを書いています。詳しくない方にも理解しやすいように適宜解説を挟みます。

昔々、といっても10年くら前ですが、地域LUG(Linux Users Group)が日本各地で勃興した時期がありました。Linuxとは何か、というと、誰でも自由に(もちろん無料で)使え、ソースコードも公開されていて、改変も自由、という技術に詳しい者に取っては大変魅力的なOSのことです。(同じような方針で開発されているOSは他にもいくつかありますが、Linuxが一番普及しているでしょう)

で、そのLinuxに魅せられた人たちが、中央(主に東京)だけでなく、地方(主に都道府県単位)にも同好会を作ろう、という趣旨の元に立ち上がったのが「地域LUG」です。大学のあった草加から千葉に移り住んだ私も CLUG (Chiba Linux Users Group) の立ち上げ、運営に参加しました。

当時はITバブル(?)の真っ最中だったので、サーバー(インターネットの向こう側にあるコンピュータ)分野で高い信頼性を誇っていたLinuxは大変持てはやされていました。何より、私が前々職で何をやっていたかといえば、そのサーバーコンピュータを作ることでした。「作る」といっても、コンピュータの部品を組み合わせてモノを作るのではなく、出来上がっているハードウェアに必要なソフトをインストールし、顧客の要求にあったものにする、という作業が主になります。Webプログラミングは、どちらかというとその延長線上で始めたことで、故に特定の言語にこだわらず、あっちの言語を覚えてはこっちの言語もかじり、という感じで勉強してきました。まあ「狭く深く」というより「広く浅く」やってきたと言えばいいでしょうか。

それはともかく、CLUGでの経験はやっていて大変楽しく勉強になり、また何より貴重な人脈を得ることができました。具体的にはどういう活動をしていたか、というと

  • 自分のPCにLinuxをインストールすることができなくて困っている人のためのインストール大会
  • 各種勉強会
  • 幕張で行われたIT系の展示会と連動した大々的な飲み会(主催がCLUG)
  • 散発的に行われる、いわゆる飲み会w

などなど、まあ勉強半分親睦半分といった感じでした。もちろんそれなりの規模でやろうと思ったら、打ち合わせ・準備はしなければなりませんけれども、それはそれで、当時のコミュニケーション手段(メーリングリスト・IRC)を駆使して行ったりして、面白いものがありました。

しかしながら、時は移り、「ゆく河の流れは絶えずして しかももとの水にあらず。」 当時、(ネットの裏側で働く者の間では)あれだけ持てはやされていたLinuxも、それ自体が注目を浴びることは少なくなりました。というより、「あまりに普通になりすぎて、希少価値を失った」と言えばいいでしょうか。

例えば今、何かネット上のサービスを立ち上げるに当たり、サーバ用のコンピュータを購入し、Linuxあるいは他のサーバ用OSをインストールし、T1回線に繋ぎ、といったことをするでしょうか? 普通にWebサイトを立ち上げたいならWebホスティングを契約すればいいですし、ちょっと凝ったことをするならVPSを契約し、予め開発方針が決まっていてスケール性が重要視されるのであれば、クラウド上にサービスを構築するでしょう。いずれにしても、いわゆる「OSのインストール作業」を開発者が行うことは少なくなりました。

ネットの向こう側でなく、「目の前にある端末」の方ではどうでしょうか? ビジネスユースであればWindowsの入ったPCが今だに優勢でしょうが、Ubuntu Linuxなどは、初心者でも簡単にインストールできるようになっていますし、何より携帯端末OSとして目下iOSを追撃しているAndroidはLinuxをベースに作られています。つまり、DoCoMoのHT-03A, Xperia, Galaxy S/Galaxy Tab, AUのISシリーズ、そして私が使っているNexus Oneなどなどのスマートフォンを使っている人は、そう意識しているかは別にして、立派なLinuxユーザということになります。

そうそう、企業でよく使われているNASあるいは「パーソナルクラウド」と呼ばれる製品も、中に入っているOSはおそらくLinuxでしょう。そして、昨今の家庭に普通に置いてある薄型テレビのOSもLinuxになっていると聞いたことがあります。つまり、茶の間で笑点を見ているおばあちゃんもLinuxユーザ。w

そうなんです。今や我々が一時期躍起になっていたような普及活動をするまでもなく、Linuxは「当たり前」になってしまいました。その自由度・柔軟性・信頼性の高さの故に。「見よ、Linuxは遍在する。」 リーナス自身、「OSは誰からも見えない存在になるべき」と言っていますし。

さて、そこで提起したいのが、「地域LUGの存在意義」です。もちろん、「もう意味が無いからやめよう」というのが論旨ではありません。Linuxというキーワードの意味が希薄になった今、どうやって運営するのがいいのか、を考えたいと思うのです。まあ、もう少し早く気づけ、というツッコミは無しで。w

例えば、Webサイト。越後Linux Users Groupさんのサイト(Wiki)に各地域LUGサイトへのリンク集があります。チェックすると、事情はどこも似たようなものらしく、404 Not Found, NXDOMAINのオンパレード(笑)。また、サイト自体は存続していても、長らく更新されていなかったりで、残念な感じが漂います。かくいうCLUGも人のことは言えず、辛うじてメーリングリスト用のMXレコードは有効ですが、Webからアクセスできる情報はありません。

先ほど、Linuxそのものは脚光を浴びなくなった旨のことを書きましたが、インターネットそのものは衰えるどころか、そこに流れる情報量は益々増えつつあります。潮流としてはWeb 2.0、そしてSNS, Twitter, SBMなどのソーシャルメディアの発達はこの記事を読まれている方なら先刻ご存じのことでしょう。

もちろん、Webだけがネットではありませんが、LUGをコミュニティとして考えた場合、その「中の人」に注目を当ててもいいのではないか、と思います。その一つの手段として、ソーシャルメディアを利用し、参加者の ブログ、ツイート、ブックマーク をアグリゲートして見せる、というのもありなのではないかと考えます。まあ、その場合、Linuxに関係のない内容も載ることはあるでしょうけれども、そうした面も含めて「中の人」自体をコンテンツにすると考えていただければ。

でもね、分かってるんです。いくら「先進的な、管理しやすい、見た目もきれいな」サイトを作ったって、結局は各人のモチベーションが大事なんだって。そのコミュニティの活況というか臨場感というか勢いのあるなしというのは、どうしたって読み取られてしまうものです。私自身、企業のWebサイトを一見すれば、その会社がどんな感じか、だいたい分かります。それは、いくらデザイナーさんが一生懸命ピクセル単位のデザインにこだわっても、いくらプログラマがAjax/Flash使って使いやすいUI使っても、いくらSEO屋さんが被リンク数増やしても、わかるものなんです。

とりあえず、Webに関しては「私自身の実験・趣味」として再構築したいと思います。そっから先、どうするかは、古き良き時代に行われていたように、飲みながらでも考えましょう!

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