タイトルで誤解する人がいるかもしれないので言っておきますと英検3級は中2のときに取ったんで、大学に入って受験したわけじゃないので、念のため。
このブログには、外国語、特に英語を上達したいがために訪れる方も多いと思います。なんせN◯Kのラジオ講座をiPodやスマホに入れて持ち運べるようにするお便利ソフト公開してますからねっ。
私自身も、同ラジオ講座にはお世話になりました。それだけじゃないけど、いろいろ自分なりに努力した結果、ネイティブ・ノンネイティブの別なく、自分の言いたいことはだいたい伝えられるようになりましたし、彼らの言ってることも、まー7,8割くらいは拾えるようになりました。完璧には程遠いですが、自分に必要な用は足せる、くらい。たまに初対面のネイティブと話をすると「おみゃーいってゃーどこで英語ならっただぎゃー?はちおんがすんばらしいびゃー!えびふりゃーえびふりゃー!」とやや大げさにほめられます。やつらのオーバーアクションを差っ引いたとしても、まあ言われて悪い気はしません。
でまあ、私ももうすぐ40になりますし、前途有望な若い方々のために、私が英語を習得するためにやったことを、上から目線になるのはしかたないとしても書いておくのも悪くはなかろうと考え、キーを叩いてる次第。参考になれば幸いです。
具体的な方法論に移る前に、ひとつ気づいて欲しいことがあります。それは「英語圏で育った子供は3歳・4歳で立派な英語をしゃべる」ってこと。「へ?そんなのあたりまえじゃん」と思うなかれ。では、その3歳・4歳のガキどもにできて、あなたにできない理由ってなんですか?日常的に英語に囲まれてるから?英語を覚えないと生活できないから?
全 然 違 い ま す
ズバリ言うと、「あなたがその頃の気持ちを忘れてるから」です。大人たちが使う難しい言葉を聞く度に、意味はわからなくても使ってみたくなりませんでしたか?全てのものに名前があることを知り、片っ端からそれを覚えたくなったことはないですか?人形やおもちゃを使いながら、何か変な物語をつぶやきながら遊びませんでしたか?「ないよ」という人は、忘れてるだけです。もしそうじゃなければ、あなたは日本語さえ満足に話せているわけがない。
英語に限らず、外国語を覚える近道は、「童心に帰ること」だと思います。そう、外国語習得って、案外子供っぽいことなんです。冠詞・定冠詞・be動詞・関係代名詞・・・などなどの文法用語なんてぶっちゃけどうでもいい。あなたがなりたいのは英語の教師ではなく、英語を話すあなたのはずです。また、英語の試験で「関係動名詞とはなにか?100字以内で説明せよ」なんて問題はまず出てきません。求められてるのは、関係動名詞と呼ばれている構文を正しく使いこなすこと、です。
というわけで。
英語なり外国語を習得したかったら、意識したいのは「英語人格」を自分の中に育てること、です。英語で考え、英語で叫び、英語で計算することです。言いたいことを日本語で作文し、それを英語に翻訳していたら、いつまでたっても話せるようにはなりません。いや、言いたいことはなんとか伝えられるかもしれないけど、あまりに非効率的ですし、続けるには苦しすぎます。
そうではなく、頭の中にある、まだ言葉の形をとっていない、もやもやっとした「表現したいもの」を、即英語に組み立てる訓練をすることです。
先ほど「英語で考え」と書きましたが、そのための訓練として、私がオススメするのは、「英語を読みこむこと」です。学校教育では、正しく理解できているかをチェックしなければならないため、どうしても和訳させざるを得ないですし、和訳することに意味がないわけではないのですが、それよりも、英語の原文でやや意味を飛ばし気味にでも読んでそのおおまかな文意を理解できるようになる、そのことが大事。わからない単語があったら辞書を引いていい。どんどん引きましょう。ただ、もし可能であればその時「英英辞書」を使うことです。英語学習者のための英英辞書がいくつか出てます。書店で自分にあったものを選んでください。読む英文はなんでもいい。小説でも新聞でも、気が向くのならエロ小説でも。私のオススメは、ロアルド・ダール、O・ヘンリー、フレデリック・ブラウンあたりの短篇集です。なぜかというと、短編なので、挫折しないで一話ずつ読める。なにより最後に「オチ」があるので、「わかった」感が楽しめる。これも一種のアハ体験になるんですかね。
で、英文を読むことで英語脳の「芯」を作れたら、聞き取りの訓練としてオススメなのは、「ディクテーション」です。ディクテーションなんて大げさな名前がついてますが、要するに、聞いた英語を紙に書き出すことです。
「そんなんできるかー」って思うでしょ?でも最初は完璧じゃなくていいんです。何か聞き取れた単語が一つでも二つでもあったら、間をあけて書き出す。わからないところは空白であけとけばいい。で、同じ音声をまた聞きます。さっきは聞き取れなかった単語が、今度は「こういってるのかなー」と思えてくる。英単語にできなかったらとりあえずカタカナで書いてみる。それを繰り返して、もうこれ以上は書き出せないとなったら、字幕と照らし合わせてみる。
「あー、俺はこの単語を聞き取れなかったのかー」と思うでしょう。それでいいんです。今度からは聞き取れるようになります。
で、ディクテーション専用の教材もありますけど、お金かかりますし、今はもっといいものがあります。ずばり、洋画のレンタルDVD。あれ、日本語の字幕はもちろんありますが、原語(英語)の字幕も入ってる場合が多いです。最初は全然字幕なしでディクテーション練習して、字幕設定を変えてチェックするだけ。
私が学生のころは、VHSのテープしかレンタルできなくて、わざわざ日本語字幕を紙で隠してディクテーションして、それでも英語字幕はないので、日本語をだいたい英語に訳して、まあまあ合ってるかなー、くらいの確認しかできませんでした。が、今はDVDがあるから便利なものです。
英文読み込みで英語の「芯」を頭の中に作り、ディクテーションで聞き取りを強化できたら、もう後は自分の言いたいことを英語で表現できればいい。
そのための練習として、オススメなのは、「英語でつぶやく」ことです。自宅に一人でいるときは、実際に声に出してもいいんですが、表でこれをやるとおまわりさんから職質されかねないのでw、外では唇を動かす程度にしときましょう。 「つぶやく」ってのはなにかというと、自分がしていること・考えている・感じていることを逐一英語で表現するんです。 例えばこんな感じ: “I’m taking a bath, because I have to meet my boyfriend later. I don’t want to be hated! OK, let’s use the soap. Clean clean clean up my body…. Ah! What a hot water! Are you boiling me?” まあ風呂場でカラオケする人もいるらしいですから英語でつぶやくくらいは許されるでしょうw どうせ一人ですし、恥ずかしいことはない。ハマりすぎて、うっかり人前でやってしまうこともあるかもしれませんが、外国語を学ぶ過程は恥の連続です。一時の恥と思って気にしないこと。ちなみに、言葉を覚え中、または覚えたての幼児をよく観察すると、この手のことを母語でやっているはずです。童心に帰ったつもりでやってみてください。
発音に関して言えば、なんといってもいいのは、英語の歌を覚えることです。実は私の中学の英語の先生は授業の前半に、自分でギターを弾いて英語の歌を教えてくれました。これ、当時の私からしたらすごくカッコよく見えて、英語の歌が歌えるようになれたらなーって強く思いました。曲のジャンルとしては、いわゆるオールディーズってやつで、60〜70年代のフォークが中心でしたね。割合ゆっくりした曲で、口を忙しく動かさなくても充分ついていけました。ちょっと話がそれましたが、童心の線でいくと、童謡や唱歌もいいと思います。「線路はつづくよどこまでも」「蛍の光」「大きなのっぽの古時計」とか、あとはそう、クリスマスソングも沢山ありますよね! 歌を歌うときは、歌詞を理解することももちろんですが、英語のリズム、つまり、拍のとり方に慣れるのが主眼です。例えば spring はカタカナで書けば「スプリング」と5文字ですが、1つの音符で一息で歌わなければいけません。そこに慣れると、英語を話すときも拍子のとり方が英語らしくなって、相手が聞き取りやすくなります。水が欲しい時「ウォーター」と言ってもまず通じませんが「ワラ」くらいに言うとスッと通じます。
たまに都会のファミレスで見かけるんですが、駅前ナントカってやつの一環なんでしょうかね、白人男性が一方的に喋ってるのを、恍惚の表情を浮かべながら「アハーン、ウフーン」と頬杖をついて聞き入ってるアホ丸出しの女の人がいます。本人は勉強のつもりかもしれませんが、あれはまあ口と耳というよりは「下半身での会話」が目的でしょうな。それで幻想に浸るのが目的なら止めはしませんが、あれで英語が上達することはないでしょう。
ちなみに私は、語学留学という名の遠足に行ったこともありません。経済事情が許さなかったのもありますが、もう一つ理由がありまして、先ほど中学の英語の先生の話をしましたが、他の英語以外の科目を教えていた先生が「英語なんて2・3年もアメリカに行けば誰でも喋れるようになる」という意味のことをおっしゃいましてね。「ふむ、なら俺は海外に行かずに英語を喋れるようになってやる」と、ひねくれた決心をしたものでした。おかげで数百万円と何年かを使った挙句、結局英語喋れないまま帰ってきた同級生を尻目に、まあまあなコスパで英語を自分なりに習得することができました。
最後に。冒頭、童心に帰ることが大事と言いましたが、逆に言うと、言語の習得にはそれだけ長い時間がかかる、ということです。また3・4歳の幼児は確かに英語で自分の要求を表現できるでしょうが、時の政権について私見を述べられるわけではありません。つまり、言語を習得する過程というのは、とりも直さずその言語文化圏での人格を成熟させることでもあります。特にある年齢に達してから始める場合は、母語を覚える場合にくらべて数倍の時間がかかります。ある程度までは大人の知恵でカバーできるところもありますが、完璧には無理。ので、ある程度のあきらめというか、自分で納得できるレベルに達したら、それで良しとする姿勢も必要なのかもしれません。それでも全くできないよりは数段マシなんですから。